紙の包装を解くと姿を現すそれは、まるで絹糸の束の様な美しい見た目を持つ四つの塊。前情報もなしに初めて見ると、いや、知っていたとしても、小さな感動に近いものを覚えるほどに、美しくそれは紙の上に鎮座している。塊の一つを手に取ると、不思議と手のひらにしっくりとくる。感触はとてもしっかりとした印象だ。それが全国的にも珍しい、直線状ではなく「まげ」状の素麺、「大門素麺」だ。
大門素麺の歴史は150年ほど前に遡る。当時の越中国砺波郡大門村(現在の富山県砺波市大門)出身の薬行商人「田守三右衛門」が、加賀国能登の蛸島を訪れた時の事。その地の人々が加賀藩に献上する為の御用素麺を作っており、生活も比較的豊かであることを知る。早速その素麺の製造法を学んだ彼は地元に帰ってそれを伝えたという。大門に限らないが、農村は天候状態による農作物の出来により生活が大きく左右される。そんな中で冬の農閑期に行われるようになった素麺作りは貴重な収入源にもなったのである。
大門素麺は冬の寒い時期に作られる。上質の小麦粉を使い、油を使わずに時間をかけて何度もこね合わせ、より合わせ、細く長く伸ばしていく。この作業は「太より」「中より」「細より」「引き伸ばし」と呼ばれ、熟練を要する作業だ。ある程度の長さに伸ばされた麺を「はさ」と呼ばれるさおにかけ下の端を、ゆっくりと引っ張っていく。一気に伸ばすと切れてしまうためだ。こうして丹念に縒りながら伸ばしていくことで、麺の繊維がさながらワイヤーのようになり、コシのある麺が出来あがるのだ。
実家からのいただき物のなかに混ざってた。
見た目のインパクトもすごい。
コシが違う。
知らずに食ったがこれはうまい。
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