【釣り】バッタをめぐる冒険。2012-2018ホッパー総集編【タイイング】

2018/11/21

フライタイイング フライフィッシング 情報

t f B! P L
バッタで魚を釣るまでにいろいろなことがあった。
そもそもがハリガネムシ寄生カマドウマ入水を知ったのは2012年。6年かけてようやく形になったのだった。そこまでの軌跡をまとめてみようと思う。

最初は2012だった

渓流魚が意外にカマドウマ食ってるみたいだぞというのを初めて知ったのは2012年のこと。どこで知ったかも忘れてしまっていたがブログに書いてた。

寄生者(ハリガネムシ類)が改変する森林-河川生態系
この写真は後述するが、実際に私が見たヤブキリのケツからハリガネムシがにゅるにゅる出てくる現場写真



おおざっぱにまとめると
ハリガネムシに寄生された水生昆虫がハッチして陸上に出てくるとカマドウマのような肉食性の強いバッタ類などに捕食される。宿主をその捕食者へと移したハリガネムシは秋になると脳に効く物質を分泌する。宿主はキラキラしたものを求めて水面へ躍り出てしまう。着水した宿主からはハリガネムシがケツから出てきて水中へ戻っていくとともに、宿主はマスたちの胃袋に収まる。
このボリューミーなメニューの比率は鱒たちの年間摂餌量の6割に及ぶそうだ(重量換算ですかね)。
特に秋の3ヶ月。
もしカマドウマの流入がなければ、水生昆虫が食われすぎてしまって落ち葉の分解が進まなくなってしまう。つまりハリガネムシが渓流の生態系のエコシステムに大きな影響を与えているのだ。

というものだ。


何もせずに時は流れて2014年


そのまま時は流れ2014年の秋に再びこの話を目にする機会があった。
ナショナルジオグラフィックのこの記事である。


【研究室】研究室に行ってみた。神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉


第1回 カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る

第2回 まるで寄生獣!寄生虫ハリガネムシの恐るべき一生

第3回 寄生虫ハリガネムシはどうやって宿主の心を操るのか

第4回 世界初! 寄生虫が異なる生態系をつなぐことを証明

第5回 なんと生き物の半分近くは寄生虫!?

第6回 ハリガネムシがつむぐ「森と川のフルコース」詳細レビュー

寄生者(ハリガネムシ類)が駆動する渓畔生態系のエネルギー流の解明

これもまたすぐブログに書いていた。
【釣り】ハリガネムシ寄生カマドウマが渓流の生態系を支えていると言う研究(カマドウマフライ巻かないと)


前からショップの店員さんなどからバッタがよく聞く川があるというのは聞いていたし、自身もバッタフライで数匹の魚をかけたことがあったが、上記の論文が事実だとすれば(論文だから事実に基づいているのだろうけども…)、カマドウマフライ必要なんじゃないだろうか。

ようやくバッタのタイイングに着手した2015年

ってことで2015年の夏にカマドウマフライにトライしたのが2015年の夏。

【釣り】夏だし、カマドウマフライを巻いてみよう その1

【釣り】夏だし、カマドウマフライを巻いてみよう その2

【釣り】夏だし、カマドウマフライを巻いてみよう その3【完結編】
ステーン!な、なんじゃこりは!

巻いてはみたものの…
なにこれ〜!釣れなそ〜!(by IKKO)
この出来栄えの悪さにカマドウマのことは忘却の彼方へいってしまっていた…。


しかし、心の奥底でくすぶるバッタへの想い。バッタタイイングへの情熱の炎は消えることはなかったのだ。この記事書くまで忘れてたけど。



2016年にもトライ

フォームボディをあきらめ、こんどはシマザキホローボディツールでトライ。

【釣り】シマザキホローボディツールでバッタを巻こう1【タイイング】

【釣り】ホローボディツールで巻いたバッタフライ完結編?【タイイング】

この出来栄えの悪さ。ブログのネタとして巻いてたんだろうよ。ひどいな。
本当にひどいな。


2017年。運命の歯車が動き出した

そして転機がきた。それは2017年の夏のこと。

2017年8月の盆過ぎ
2017年は3本の新しい川の開拓を行なっていた。ちょうどこの年の6月に車を新車に買い替えたってのもあって、それでアクティブに行動できたってのもある。それまで乗ってたランドクルーザー70に比べると、新車のXVはよく走る、よく曲がる、よく止まる。アイサイトって安全機能もついているので、遠出が楽になったってところが大きかった。

開拓した3本の川のうちの一つはそんなに遠くの川ではないんだけど、退渓している時に目の前でヤブキリが突然入水。慌てて駆け寄って手ですくったところヤブキリのケツからニュルニュルとハリガネムシが出てくるのを目の当たりにした。ハリガネムシそのものを見るのも初めてだった。

【釣り】ハリガネムシに寄生されたヤブキリを詳細チェックついでにキリギリスとフキバッタも【タイイング】

さらに話は続く。

6月頃に開拓したけっこう遠方の川、9月に入ってに改めてトライしたところライツロイヤルででかいヤマメ合わせ切れ。これはでかかった。

【釣り】探釣最終章秋ヤマメに苦戦したのち鮮やか秋ヤマメ
鮮やか秋ヤマメ(確かイワイイワナかなんかで釣った)。これを釣る前に12番ライツロイヤルで合わせ切れが2回あったんだった。


さらに9月17日、たまたま見かけた遠方の川に入渓&探釣したところ、12番くらいの大きなライツロイヤルを投射したらでかいヤマメ(っぽい)のがヘッドアインドテイルしてきた。結局直前で見切ったのかこれはくわえなかったけど、でかいライツロイヤルっぽいのに食ってきたってことは、つまり…。バッタ食いを示唆するものっぽくないか?
【釣り】有給取って大物釣りに挑んだついでに探釣も


それほど大きくない魚は釣れたが、尺絡みっぽい個体も反応してたんである。

ここでようやくぼんやり思っていたのが確信に変わってきた。
・秋はバッタを魚は食ってる
・ビッグフライビッグフィッシュ
・カマドウマかどうかまでは不明。クリケットかもしれないしイナゴっぽいのかもしれない。



ライツロイヤルの#10、#12あたりのサイズは、おそらくバッタイミテーション的にそこそこいい線いってると思うが、見切られ事案も少なくないことから、もうちょっとバッタに寄せる必要があるのだろうと。

プロショップ(長岡のパーマークさん)の声


そんなことをショップ店員さんに伝えたところ
「脚が重要だ」
「ベージュが効くはず」
「バッタならヘアウイングつけるとそれっぽくなる」
との情報を得た。
なるほどね。上記はライツロイヤルにはない要素だもんね。




論文について改めて

ヘアウイングはカマドウマにはない要素だけど、まあここは「バッタフライ」ということで捉えた方がいいのかもしれないな。


というのは神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉氏の研究のフィールドは演習林だと思うんだよね(元の論文読んだわけなないからアレだけど)。演習林を流れる渓流ってのはどういうところかというと、写真や実験方法から察するに(川にシートをかぶせてカマドウマ流入がないようにしたってとこからして)
・結構フラットな流れ
・川の規模は割と小さめ
・渓畔林がよく発達している
っていう林間の小渓流ではないかと。


渓畔林には我々が知らんだけで結構な数のカマドウマがいるんじゃないかってのは疑いのないところですが、渓流もいろいろありますからね。ゴルジュだったりゴーロ帯だったり河原が広かったり、田んぼの脇だったり。つまりハリガネムシと渓魚をつなぐバッタ類もおそらくバリエーションが多めなんだろうということは予想されるんではないかなと。
ちなみに肉食性が強いバッタ類って皆が思っているより多くって、キリギリス類はかなりその傾向が強いとか(とくにヤブキリ、ウマオイなど)。
トノサマバッタでも共食いしたりするので、イナゴとかも結構水生昆虫食ってんじゃないのかな。そんでよく入水しちゃっていると。

余談:ハラビロカマキリ

話は変わるけれども、ハラビロカマキリってのはwikiによると
本種は他のカマキリ、肉食直翅目にもましてハリガネムシによる寄生がひときわ多くみられることで知られる。
っていうから寄生された水生昆虫をよく食っているってことだよね。カマキリへの尺上ヤマメライズの話はどこで聞いたんだけっけなあ(すっとぼけ)。
ハラビロカマキリ(wiki)

これがマシュマロホッパーだ

フライのイメージが少しづつ固まってきたある日、ツイッターで見かけたのが上州屋八王子店のシマザキフライのタイイングイベントの写真だった(たしかフライの雑誌社さんのツイートだった)。
写真にはマシュマロホッパーとマシュマロクリケットがあった。

そうか、マシュマロボディにヘアウイングね。
なんというおさまりの良さ。フライとしてのたたずまいがなんかしっくりしていると感じられる。
マシュマロファイバーによるエクステンドボディなので水面との接し方はかなり虫っぽいんじゃないだろうか。フォームで作るバッタはちょっと重い気がする。さらにはマシュマロファイバーはフロータントとの相性が良いはずだ。

それで巻いてみた記事がこれ。

7/16
【釣り】マシュマロホッパーとマシュマロクリケット巻いてみた【タイイング】

7/22
【釣り】緑のバッタも巻いてみた。その他夏フライ【タイイング】

これが私のホッパー第一世代。


ここでは指定フックをTMC2302の8番、ないしはTMC206BLの8番と想定したたんですね。


更なる改良を

そしてさらに、


7/24
【釣り】タイイングの見本にどうぞ。バッタ画像コレクション【タイイング】追記あり。




やはりバッタの腹側はベージュ〜シナモンで表現すべきなのかと。

フライに反映、これで完成か

7/29
【釣り】シナモン色のフライ追加タイイング【タイイング】【バッタ】

それで早速巻いてみた記事。
私のバッタフライ第二世代。
TMC206BLの10番が良いとしてるけど、シナモンボディにはブロンズフックだろってことでTMC921の#10で決定。マシュマロボディには何かと都合がいいと感じていた。
全体のプロポーションはこれで決まった。

ハックルによるレッグについては妻の担当。この作業、酒飲んだ後だとぜんぜんうまくいかない。マシュマロボディは私の担当。


7/30
【釣り】夏〜秋フライ、横から見るか下から見るか【タイイング】【バッタ】
フライの出来には自信があったんだけど、魚はどう判断するのかなと。魚の目線でフライを見てみたと。
その辺は魚に聞いてみないとわからんとこだけど。

ぐうう〜脳からドバドバアドレナリンが出てるのを感じていた。
もっとフライ量産したい、しかし本当に魚に効くのかどうかわからないフライを量産することはできない、早く試したい。もどかしい。
だからこそ、この記事の投稿頻度。

リアルタイムでツイッターの投稿など見てた方ならわかると思うが、頭の中はバッタフライででかい魚釣るイメージでいっぱい。なんとなく8割がたはこれでいけると確信はあったんですが、フライの評価は釣り人じゃなくって魚が決めることだから…。
この辺の脳内は、まるでフライフィッシング始めて2年目3年目あたりのテンション。頭の中を脳内物質がオーバードライブ駆け巡ってる。はやくマシュマロホッパー使いて〜よ!

そう、後から思えば充実した時を過ごしたなあってなるけど、実際のリアルな心境は
・釣れそうだよ!
・ほんとに釣れるかな!
・早く検証してーよ!
ってだけだった。いやほんとに。


そんな時、副会長から8/13に遠征しようと釣りのお誘いが。
しかし盆前かあ、ちょっとバッタには早いかなと思ったんだけど。
蓋開けてみたらこれだ。


「待ってたぜェ!!この瞬間(とき)をよぉ!!」


8/13
【釣り】盆休み遠征、マシュマロホッパーで尺ヤマメ【釣行記】追記あり





3本川をはしごしたのだが、1つ目の川でマシュマロホッパーに激しいアタック。2つ目の川は合わせ切れ。手応えをつかんで臨んだ3本目の川。
最初のポイントでいきなりバッタフライにヘッドアンドテイル。
ぞぶん。と飲み込んだのはすっかり秋色に染まった尺ヤマメ。
た、たまらん。そしてやったぜ!

マシュマロボディのファイバーがヤマメの歯に絡んでバレにくいんじゃないかなってのもなんとなく感じたり。

振り返るとこの川は、フキバッタ、ヤブキリ、ヒメギスなど比較的大きめなバッタ類が多く生育しているようだったから、この結果は割と必然だったのかも。とはいえお盆前。論文では秋の3ヶ月ってあったのにまだ真夏だよ!?

これは仮説だけど、直翅目(バッタ目)の羽化のピークは結構ばらついている(初夏から初秋)事実があるので、フィールドの環境によっては盆前から直翅目へのライズがあるのではないだろうか。つまり直翅目のハリガネムシ入水は盆前から秋までダラダラ続いているんじゃないか、あるいは盛夏にも入水ピークがあるって仮説なんだけども。
ああ、ここ岩に刻んでおこうかなあ。


8/15
釣り】マシュマロホッパーとりあえずの総括とマシュマロクリケットの新バージョン【タイイング】

クリケットの腹側もシナモンで良いはず、という記事。

8/17

【釣り】タイイングルームの整備とりあえず完了で、さらにバッタ巻いた【家づくり】【タイイング】

記事の後半でバッタフライのサイズ感について書いていました。


8/20
【釣り】増水でもなんとかマシュマロクリケットで【釣行記】追記あり
早速マシュマロクリケットで釣果あり。イワナが食いそびれたところニジマスがガブリ。

夏バテなのかやせっぽちな個体。腹ペコのところ疑似餌ですまんね。

8/26
【釣り】晩夏の泣き尺ヤマメはバッタでなくてアグリーニンフで【釣行記】
8月の終わり、やや増水だったからなのかアグリーニンフがてきめんに聞いた。

替え歌まで飛び出す始末

2018(トウェンティエイティーン)
コオロギや oh バッタのフライ
キワモノフライとおもっていたけど
Love 勘違い oh そうじゃないよ
いきなり尺出て しまったよ
マシュマロな君に〜
(夏色のバッタフライ2018 歌:class)


更なる改良を


9/4
【釣り】食べ頃サイズ2センチくらいのマシュマロホッパーを巻き足した【タイイング】
TMC921の12番。一歩進んだ記事。




この少し小型版のマシュマロホッパーは手応えを持っていた。
実際、カマドウマと似たサイズだったっていうのもある。

源流でも食べごろバッタは効いた


【釣り】お彼岸の源流2018 バッタフライは効いたのか釣行【釣行記】
またおチビちゃん。


【釣り】2018シーズンラスト釣行は地元新潟で【釣行記】【源流】

バッタでスレがかり。あらら。
カマドウマサイズ、だいたい全長2センチくらいってのはなかなか汎用性がありそう。
持っておくなら#10と#12で決まりだ。


秋より前っていうか盆前あたりにもバッタ類のハリガネムシ入水があるのかどうかは今後のテーマだろうか。

頑張れば夢は叶うってストーリーではなく、無我夢中でやってたら結果がついてきたって感じ。ああなんて充実の2018シーズンよ。

とにかく、2012より続いたバッタをめぐる冒険はこれで終わった。もうバッタフライは「定番フライ」になったのだった。



フライ回収棒研究所

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